保育所の円滑な整備等に向けた採光規定の合理化について【H30.3.22施行】

2018/7/25up

 

保育所の円滑な整備などを後押しするため、建築基準法の採光規定を合理化するよう、平成30年3月22日に平成15年国土交通省告示第303号が改正されました。この改正により、建築物の開口部で採光に有効な部分の面積(有効採光面積)の算定方法について、各地域の事情により特定行政庁が、政令の規定と異なる方法を定められることとなりました。

具体的には、建築基準法の採光規定を合理化するため、土地利用の現況に応じた採光補正係数の選択制の採用及び一体利用される複数居室の有効採光面積の計算方法の弾力化が行われました。実際に東京都が補正係数については規則で区域や計算方法を指定、一体利用される複数居室の有効採光面積の計算方法の認定基準が定められましたので参考に記載しました。これから、特に各地域の中心部では特定行政庁から緩和規定が出されることを期待します。

1 土地利用の現況に応じた採光補正係数の採用

特定行政庁が、土地利用の現況(建て詰まり度合い等)に応じて、特定の区域を指定した場合については、建築基準法施行令第20条第2項各号に定める採光補正係数の算定方法ではなく、特定行政庁が指定した算定方法(緩和側)を選択することを可能とする

参考に東京都荒川区では、以下に記載の内容で緩和となります。
用途地域が準工業地域に指定されている区域の一部を告示に基づき区域の指定等を行うため、建築基準法施行細則を改正し、平成30年6月29日に施行しました。
補正係数については、建築基準法施行令第20条第2項第3号の規定により算出した数値としており、工業系の地域に商業系の補正係数を採用しています。

2 一体利用される複数居室の有効採光面積の計算方法の弾力化

2以上の居室が、一体的な利用に供され、かつ衛生上支障がないものとして特定行政庁の規則で定める基準に適合すると特定行政庁が認めるものに限る
これにより一体的な利用に供される複数居室を全体として捉えることで、それぞれ基準を満たす面積がある開口部とみなし、間仕切り壁の設置位置の自由度が向上することになる

参考に東京都では、以下の認定基準が定められました。
<一体利用される複数居室の認定基準>(東京都建築基準法施行細則第34条第1項)

  • (1) 複数居室(各居室が相互に連続するもの。以下同じ。)のうち、「特定居室」※1が以下の要件を満たすこと。
    • 直接外気に接する採光上支障ない窓等の開口部※2(開口部面積が当該特定居室の床面積の1/20以上であるもの)を設けること。
    • 照明装置(床面で最低照度200ルクス以上が確保できるもの)を設けること。
  • (2) 複数居室の各居室を区画する壁が、以下の要件を満たすこと。(開口部を設けないこととしたときに、複数居室の一体利用及び採光に支障がないと知事が認める壁を除く。※3)
    • 当該壁に接する居室間を直接行き来するための出入口を設けること。
    • 採光上支障ない窓等の開口部※2(壁ごとの当該開口部の面積の合計が以下の面積以上のもの)を設けること。
      • 「特定居室」を区画する壁に設ける開口部の面積の合計
        [「特定居室」の床面積の1/5以上又は
        壁の面積※4の1/2以上のいずれか大きいほう]
      •  ア以外の壁に設ける開口部の面積の合計
        [壁の面積※4の1/2以上]
  • (3) 複数居室のうち、「特定居室」の数は2を超えないこと。
  • (4) 複数居室には、保育所及び幼保連携型認定こども園の保育室以外の居室を含まないこと。

※1 居室に設けられた窓等について、建築基準法に定められた方法により算出した採光に有効な部分の面積の合計が、その居室の床面積の1/5に満たない居室。
※2 半透明のガラス窓等、採光が確保できる開口部。扉が設けられ、閉鎖状態で採光を確保できない出入口等は除く。
※3 「複数居室の一体利用及び採光に支障がないと知事が認める壁」には、以下の要件を満たすものが該当する。
 ・特定居室同士を区画する壁又は特定居室以外の居室同士を区画する壁であること
 ・当該壁に接する居室が、当該壁以外の(2)の要件を満たす壁により、特定居室以外の居室に接続していること
※4 天井裏や柱の部分を除く壁が室内に面する部分の面積。

一室とみなす範囲
  • 上図の保育室(1)〜(4)を全体としてとらえて採光規定を適用。
  • 採光上有効な窓の面積の合計(40u)≧保育室(1)〜(4)の床面積の合計(150u)×1/5
  • 間仕切壁に一定の面積の開口部を設置。
  • 開口部@の面積≧保育室(3)の床面積×1/5のいずれか大きい方
  • 壁の面積×1/2
  • 開口部Aの面積≧保育室(3)の床面積×1/5のいずれか大きい方
  • 保育室(4)の床面積×1/5
  • 壁の面積×1/2
  • 開口部Bの面積≧壁の面積×1/2
出典: 国土交通省ウェブサイト(参考資料:保育所の円滑な整備等に向けた採光規定の合理化について)
東京都ウェブサイト(建築基準法の採光規定における「一体利用される複数居室の認定基準(案)」)