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コラム

省エネ適判の変更手続きおよび完了検査について

1.変更手続きについて

建築物省エネ法における適合義務がある建物(以下、『省エネ適判対象建築物』)では、工事中に設計変更がある場合、建築確認申請と同様、計画変更または軽微な変更の手続きが必要となります。

建築確認申請では建築基準法施行規則第三条の2に該当しない変更(例:面積の増加や建物高さの増加、防火区画等の位置変更、用途の変更等)を計画変更として扱うのに対し、建築物省エネ法では、

  1. 用途の変更
  2. モデル建物法を用いる場合のモデル建物の変更
  3. 省エネ適判申請時の計算方法の変更(モデル建物法 ⇔ 標準入力法(主要室入力法を含む))

が計画変更の対象となり、1)〜3)以外の変更については「軽微な変更」となります。
省エネ適判対象建築物が建築物省エネ法の計画変更となる場合は、省エネ適判の変更計画書を提出し適合通知書の交付を受けないと、建築確認申請における確認済証を交付できないのでご注意ください。

軽微な変更については、建築確認申請では変更があった都度(または以後)軽微な変更説明書を提出していますが、省エネ適判の軽微な変更では原則1回となります。これは、変更内容によって軽微な変更ルートA〜Cの3種類に分類され、手続きも内容によって異なるためです。そのため、省エネ適判における軽微な変更説明書の提出については、現場でこれ以上の変更がないことが確定した時点、一般的には完了検査受検前となります。

省エネ適判の軽微変更ルートA〜Cは以下のように規定されます。省エネ適判対象建築物の計算対象部分が変更の対象となる点にご注意ください(例:モデル建物法において、工場モデル部分の空調機の能力等の変更がある場合、工場モデルでは空調は計算対象外のため、変更の対象とはなりません)。

●ルートA「省エネ性能が向上する変更」

省エネ適判の計算ツールで再計算することなく、BEI(又はBEIm)の値が小さくなることが明らかな以下の変更を指します(変更内容を再計算した結果BEI(又はBEIm)の値が小さくなったとしても、ルートAには 該当しませんのでご注意ください)。

  • a)建築物の高さ、もしくは外周長の減少
  • b)外壁、屋根もしくは外気に接する床の面積の減少
  • c)空調負荷の軽減となる外皮性能の変更
  • d)設備機器の効率向上・損失低下となる変更
  • e)設備機器の制御方法等の効率向上・損失低下となる変更
  • f)エネルギーの効率的利用を図ることのできる設備の新設・増設

●ルートB「一定範囲内の省エネ性能が減少する変更」

計画変更前の省エネ性能が省エネ基準を1割以上上回り(BEIが0.9以下)、変更後の省エネ性能の減少が1割以内に収まるものとして以下に該当する変更

  • a)空気調和設備(以下以外は性能が向上する変更)
    ※イ)とロ)の両方に該当する場合はルートCとなります。
    イ)外壁かつ窓の平均熱貫流率について5%を超えない増加
    ロ)熱源機器の平均効率について10%を超えない低下
  • b)機械換気設備(以下以外は性能が向上する変更)
    ※イ)とロ)の両方に該当する場合はルートCとなります。
    イ)送風機の電動機出力について10%を超えない増加
    ロ)計算対象床面積について5%を超えない増加(室用途:駐車場、厨房)
  • c)照明設備(以下以外は性能が向上する変更)
    ・単位床面積あたりの照明器具消費電力について10%を超えない増加
  • d)給湯設備(以下以外は性能が向上する変更)
    ・給湯機器平均効率について10%を超えない低下
  • e)太陽光発電
    ※イ)とロ)の両方に該当する場合はルートCとなります。
    イ)太陽電池アレイのシステム容量:2%を超えない減少
    ロ)パネルの方位角について30度を超えない変更かつパネルの傾斜角について10度を超えない変更

●ルートC「再計算によって基準適合が明らかな変更」

  • ルートA・Bのいずれにも該当しない変更。
  • ルートCに関しては再計算を行わないと適合を確認できないため、「軽微変更該当証明申請書」を所管行政庁等に提出して「軽微変更該当証明書」の交付を受けたのち、「軽微な変更説明書」を建築確認審査機関(または特定行政庁)に提出する必要があります(ルートA・Bは「軽微な変更説明書」を建築確認審査機関(または特定行政庁)に提出)。
  • ※「軽微変更該当証明申請書」の申請から交付までの期間は物件の規模や用途にもよりますが、計算内容全てを再度審査する必要があるため、概ね当初の計画時と同程度とお考えください。
  • ※「軽微な変更説明書」については、ルートA・Bで申請いただいた内容が、審査の結果ルートCとなる場合もあります。ルートCとなる場合は、完了検査申請時では検査に間に合わない可能性があるため、事前にご相談いただくことを推奨します。
変更手続きのフロー

モデル建物法での申請における軽微変更のルートBかルートCについての判断方法について補足します。
ルートBには「一定範囲内の省エネ性能が減少する変更」とあり、範囲が明示されていますが、具体的には以下の方法で確認することになります。

  1. ファイルを開く
    国立研究開発法人建築研究所ホームページの『モデル建物法入力シート』の『入力確認』のシートを開く。(通知書交付時のモデル建物法入力シートを使用する必要があります。作成時期によっては『入力確認』シートがない場合がありますので、その際は最新の入力確認シートに元のデータを転記する必要があります。)
    入力確認
  2. 入力値の算出
    @『入力値を算出する』のボタンをクリック(※インターネット環境が必要となります)
    A自動計算で、入力値(自動計算)欄に、通知書交付時の計算結果が算出されます
    B計算結果を『※計画変更前の入力』にコピー
  3. 変更後の計算結果を確認
    @入力対象部分の変更部分を修正
    A『入力値を算出する』のボタンをクリック(※インターネット環境が必要となります)
    B自動計算で、入力値(自動計算)欄に、変更後の計算結果が算出されます
    C通知書交付時の計算結果と、変更後の計算結果に違いがある場合、『※変更の有無』に増減率が表示されます(増減率のプラスマイナスはプラスであれば増加、マイナスであれば減少というわけではなく、単純な数値の比較のため、ご注意ください)。通知書交付時のBEImが0.9以下の場合、まず淡いピンク色セル部分の増減率がルートBの一定の範囲内に収まっているか確認(範囲の説明は『入力確認シート』の最下段を参照)。
    ただし、白地部分のエネルギー消費性能が低下する変更があれば、ルートBの一定の範囲内でもルートCとなり、軽微変更該当証明の申請が必要となります(『住宅性能評価・表示協会発行 省エネ適判完了検査マニュアル』 P36を参照)。

各項目の増減率・エネルギー消費性能などについて不明な点がございましたらご相談ください。

2.完了検査の手続きについて

建築物省エネ法に適合義務がある場合、確認申請時に省エネ適判の適合通知書が必要になりますが、完了検査時に省エネ適判時の計画書についても検査を受けることになります。計画時から省エネ適判に係る項目に変更がない場合は計画時のままで検査を受けることになりますが、省エネ適判の軽微変更がある場合は、上記「1.変更手続きについて」に従って完了検査受検前に手続きを完了する必要があります。
省エネ適判の完了検査は建築主事または指定確認検査機関にて行うため、省エネ適判と建築確認の申請先が異なる場合は建築確認の申請先で省エネ適判の検査を行うことになります。この場合、省エネ適判の検査書類については完了検査前に建築確認の申請先に提出することとなります。
完了検査時の省エネ適判の申請書類として、

  1. @軽微な変更説明書(建築物省エネ法)
  2. A省エネ基準工事監理報告書

の提出が必要となります。ただしルートCに関しては、事前に「軽微変更該当証明申請書」を所管行政庁等(省エネ適判の申請先)に提出する必要があります。

3.完了検査時の検査項目およびその方法について

完了検査時に省エネ適判に係る項目も検査されます。検査する項目は「省エネ計算に計上されている設備」および「省エネ計算として計上されるべき設備」となります。省エネ適判の通知書交付から完了検査時までの期間に変更がなされ、その変更内容が計算に計上されていない場合には不適合となり、再度の変更手続きを要する場合があります。
検査は以下の方法で行われます。

  1. A:目視による立会い確認
  2. B:計測等による立会い確認
  3. C:施工計画書等・試験成績書・写真等による確認

「A:目視による立会い確認」および「B:計測等による立会い確認」とは検査員が現場と計算書の照合を行う方法で、「C:施行計画書等・試験成績書・写真等による確認」とは現場作成の施行計画書や各種試験成績書、納品書等と計算書の整合を行う方法です。特に、外皮の断熱状況・給湯設備の保温状況・各種制御設備は現場での目視確認が難しいため、「B施行計画書等・試験成績書・写真等による確認」による検査が多く行われます。なお、「省エネ基準工事監理報告書」の確認欄にも同じ内容があり、監理者は項目毎にA〜Cを記載します。検査員は、この記載内容を基に検査を行います。

元々計上されている設備が完了検査時に設置されていない、逆に計上されていない設備が設置されている、計上されている機器の仕様や消費電力等が異なる場合に不適合となります。完了検査で不適合となった場合は軽微変更ルートA〜Cのいずれかの変更手続きを行い、手続きが完了しなければ建築確認申請の検査済証を交付できないためご注意ください。
完了検査で不適合となる要因はいくつかありますが、施工者の判断で変更した内容が設計者に伝わっておらず計算に計上されていないケースが多く見受けられます。省エネ適判対象建築物については、軽微な変更の手続き前に施工者との内容確認を密に行うことを推奨します。

<参考書類リンク先一覧>

本稿で紹介した書類やマニュアルのリンク先です。