省エネ適判時申請書類(計画書の書き方、設計内容説明書や計算書、設計図書の明示事項等)
平成29年4月1日に施行された平成27年法律第53号「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(以下「建築物省エネ法」)における規制措置(適合義務(適合性判定)及び届出)のうち、適合義務(適合性判定)における申請図書について説明します。
1. 省エネ適判における必要な図書
適合義務(適合性判定)の対象となる建築物が省エネ基準に適合していることを担保するため、建築主は所管行政庁又は登録省エネ判定機関に建築物エネルギー消費性能確保計画(以下「省エネ計画」)を提出し、建築物エネルギー消費性能適合性判定(以下「省エネ適合性判定」。略して「省エネ適判」)を受け、省エネ基準に適合している旨の通知書(以下「省エネ適合性判定通知書」)の交付を受けることが必要となります。
省エネ計画に必要な図書の部数や内容は以下の通りです。
㋐必要部数:正本+副本(+控本※) 2部(+1部)
※建築物省エネ法では正本と副本を求められていますが、当社に提出いただく場合は控本の提出をお願いしています。
㋑計画書
- ・委任状(各手続きを建築主以外が行う場合に必要)
- ・計画書(以下「省エネ計画書」)
㋒添付図書
- ・設計内容説明書
- ・支援ツール計算結果(標準入力法・主要室入力法やモデル建物法)
- ・設計図書と根拠資料
㋓その他
- ・「省エネ適合性判定申請(計画変更申請、軽微変更ルートC共)」図書チェック表※
※当社に提出いただく場合は添付をお願いしています。
委任状、省エネ計画書、設計内容説明書など建築物省エネ法施行規則第1条に規定される様式は、当社ホームページで公開しています。多くの所管行政庁や登録省エネ判定機関は独自の書式を公開していますので、基本的に提出先が公開している書式を用いて作成するほうが省エネ適合性判定通知書交付までスムーズに行うことができるでしょう。
2. 建築確認申請と省エネ適判の流れ
適合義務(適合性判定)の建築物を建築する場合、建築確認時に建築主は所管行政庁又は登録省エネ判定機関の省エネ基準への適合性判定を受け、適合判定通知書等の写しを建築主事又は指定確認検査機関に提出する事が義務付けられています。確認申請時や計画の変更時では、適合性判定で提出すべき省エネ計画書は異なります。
@確認申請時
確認申請時は省エネ適合性判定を受けるため建築物省エネ法における「省エネ計画」を提出し適合判定通知書を受領する必要があります。
A適合判定通知書受領後〜完了検査前に省エネ計画に変更が生じた場合
確認申請時の計画が完了検査申請時までに変更になった場合、その変更内容に応じて建築物省エネ法における「変更計画書」を提出し再度適合性判定を受ける、もしくは建築確認における完了検査申請時に建築物省エネ法における「軽微な変更説明書」に添付する軽微変更該当証明書(軽微変更ルートC)の交付を受けるため「軽微変更該当証明申請書」を提出する必要があります。なお、適合判定通知書受領後から完了検査申請まで省エネ計画に係る変更が無い場合および軽微変更ルートAまたはルートBに該当する変更の場合は建築物省エネ法に係る手続きはありません。ただし、完了検査申請書の建築物省エネ法に係る部分の添付図書の作成は必要となります。
なお、軽微変更該当証明申請は支援ツール計算結果や設計図書の審査が発生しますので、その申請から適合判定通知書交付まで約1〜1.5ヶ月ほど要します。適合判定通知書が交付されていなければ完了検査が受検できませんので、余裕を持って申請することをお願いしています。
建築確認において計画変更は建築基準法第6条第1項で規定され、軽微な変更は建築基準法施行規則第3条の2で規定されます。省エネ適判の計画変更は建築物省エネ法第12条第2項で規定され、軽微な変更は建築物省エネ法施行規則第3条で規定されています。建築確認における計画変更や軽微な変更は、必ずしも省エネ適合性判定における計画変更や軽微な変更とは一致しません。
建築確認における用途変更は計画変更に該当し、その変更内容によっては省エネ適判においても計画変更に該当する場合があります。この場合、計画変更確認申請における確認済証交付までに省エネ適合性判定の計画変更による適合判定通知書の提出が必要となります。
省エネ適合性判定における計画書、変更計画書、軽微該当証明申請書は基本的には同じですが、様式が異なります。軽微変更該当証明申請書では(第六面)及び(第七面)が無いなどの違いがあります。
当コラムでは計画時、軽微該当証明申請時及び変更計画時の計画書は共通で「省エネ計画書」として、建築確認申請における申請時及び計画変更時の計画書は共通で「確認申請書」として説明します。
3. 委任状
委任状は委任年月日、委任者(委任する人)となる建築主等、受任者(委任される人、代理者)となる建築士又は行政書士、委任する内容(手続きの法律や業務の内容)、建築場所等を明示する項目です。
特定建築物の基準適合は建築物省エネ法第11条で建築主に課せられた義務となりますので、建築主は規制措置に係る業務を行わなければなりません。ただし、建築確認申請と同様に建築士法第21条及び行政書士法第1条の3より建築士と行政書士は手続きの代理業務を行えます。このとき、建築主は建築士又は行政書士のいずれかに法律上必要な業務を委任し、手続きを代行させることができますが、その委任した内容を明示した委任状を提出する必要があります。一般的に委任する先は建築士となる場合がほとんどで、その建築士は代理者という扱いになり、計画書(第二面)【2.代理者】に記載されます。
法律行為における委任は民法第643条で規定されますが、その書き方については規定されていません。ただし、委任状は白紙委任状で見られる委任内容の改変など、その委任内容を勝手に変えられてしまう問題を内包しています。よって当機関では委任状の誤記訂正等を含めた修正は委任者(建築主等)の訂正印である場合のみ認めています。
- ●「委任年月日」は委任した日を記載します。
- ●「建築主等」は委任者の住所氏名を記載し押印する項目で、確認申請書(第二面)及び省エネ計画書(第二面)の【1.建築主】と整合しなければなりません。
- ●「代理者」は受任者の氏名を記載する項目で、省エネ計画書(第二面)の【2.代理者】と整合しなければなりません。
- ●「1.申請の区分(該当する項目全ての□枠内にレ印)」は委任者が受任者に委任する内容を記載します。委任事項を確認するため、当機関では「建築物省エネ法の規定」による手続きであることの明記をお願いしています。
- ●「2.建築場所、設置場所又は築造場所」は確認申請書(第三面)及び省エネ計画書(第三面)【1.地名地番】と整合しなければなりません。また、その記載は都道府県を省略せず、記載ください。
4. 計画書(省エネ計画書)
省エネ計画書は確認申請書と関連する項目が多く、その多くの整合性が求められます。省エネ計画書は添付の設計図書等への明示と整合性が求められます。省エネ計画書だけではなく、委任状や設計内容説明書にも共通することですが、明示する地名地番や各住所は都道府県から省略することなく記載します。
■(第一面)
(第一面)は提出年月日、提出者、設計者を記載し、申請先及び規制の対象となる法文の明示する項目です。
完了検査について、建築物省エネ法では規定はありませんが建築基準法関係規定に該当するため、建築確認における完了検査を受検する必要があります。省エネ適判の申請先は所管行政庁又は登録省エネ判定機関となります。ところが、完了検査は建築主事又は指定確認検査機関となります。よって完了検査申請時には建築主事又は指定確認検査機関に省エネ適判に要する図書及び書類のうち、具体的な省エネ措置等が示された図書等(設計図書や根拠資料など)を提出する必要があります。ただし、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の施行について(技術的助言)(平成29年3月15日付国住建環第215号)」2.(3)@より、完了検査を行う建築主事又は指定確認検査機関と省エネ適判を行う所管行政庁又は登録省エネ判定機関が同一の場合は、申請者を含めた関係者間で事前に調整を行えば、省エネ適判に要した図書等を完了検査で利用できるようになります。当社に確認申請も省エネ適判も御申請いただける場合において、この同意がいただける場合に(第一面)にあるチェック欄をチェックいただければ、完了検査時に別途図書を提出いただく手間を省くことができます。

当社書式より抜粋
■(第二面)
(第二面)は建築主、代理者、設計者、確認申請の状況、物件名称を記載する項目です。
- ●【1.建築主】は確認申請書と同様になります。
- ●【2.代理者】は建築主から確認申請とは別に委任を受けるので、確認申請書と一致する必要はありません。
- ●【3.設計者】は省エネ適判で必要となる図書に係る設計者のみ記載が必要となります。構造図及び構造計算書、構造や設備の法適合などは建築物省エネ法では不要ですので、記載する必要はありません。支援ツールより出力される計算結果(支援ツール計算結果)も設計図書の一部となりますので明示が必要となります。(代表となる設計者)の【ト.作成した設計図書】は設計内容説明書、支援ツール計算結果など意匠図以外の図書も含まれるため、「申請図書一式」などと記載しても問題ありません。なお、(代表となる設計者)の【ト.作成した設計図書】の記載内容は所管行政庁又は登録省エネ判定機関によって求める内容が異なる場合がありますので、申請前の相談をお勧めします。
- ●【4.確認の申請】は申請建物、または申請建物を含む建築確認申請を申請済か未申請かを記載する項目です。申請済(受付済み)や未申請のどちらの場合においても(カッコ内)に申請先機関名及びその所在地(都道府県+市町村区名)を記載が必要です。特に、当社など複数の事務所が有る場合、いずれかの事務所かを特定できるようにしなければなりません。
- ●【5.備考】は物件名称を記載ください。1敷地に複数棟を建築する場合は物件名称末尾に棟名称を追加し、申請棟を特定できるように明示ください。
■(第三面)
(第三面)は建築物及びその敷地に関する事項を記入する項目です。
- ●【1.地名地番】は確認申請書(第三面)の内容を記載します。都道府県から記載ください。建築場所の地名地番が多岐にわたる場合などで「他○筆」などと省略する場合がありますが、その場合は【12.備考】などに明示し、省略内容が確認できるように記載します。ただし、確認申請書(第三面)の記載が省略されていない場合は省エネ計画書も合わせて省略しない記載としてください。
- ●【2.敷地面積】は確認申請書(第三面)の内容を記載します。
- ●【3.建築面積】は確認申請書(第三面)と一致しない場合がありますが、添付の設計図書(求積図)と整合しなければなりません。また、記載される面積は申請棟のみの建築面積となります。
- ●【4.延べ面積】は確認申請書(第四面)と一致しない場合がありますが、添付の設計図書(求積図)と整合しなければなりません。また、記載される面積は申請棟のみの延べ面積となります。
- ●【5.建築物の階数】は確認申請書(第四面)の内容を記載します。
- ●【6.建築物の用途】は「非住宅建築物」又は「複合建築物」のいずれかを選んでチェックします。「複合建築物」とは「住宅用途+非住宅用途」の複合建築物を意味します。
- ●【7.工事種別】は「新築」、「増築」又は「改築」のいずれかを選んでチェックします。確認申請書(第四面)の記載に整合させます。敷地内増築で棟としては新築である場合は「新築」にチェックします。
- ●【8.構造】は確認申請書(第四面)の内容を記載します。
- ●【9.該当する地域の区分】は国土交通省告示第245号の別表第10に示される省エネルギー基準地域区分を記載します。用途地域では無いので注意が必要です。
- ●【10.工事着手予定年月日】は確認申請書(第三面)の内容を記載します。
- ●【11.工事完了予定年月日】は確認申請書(第三面)の内容を記載します。
■(第四面)
(第四面)は建築計画概要書(第三面)の記載内容に準じて作成ください。
- ●【1.付近見取図】は近隣の状況が分かる図面とし、方位・道路・目標となる地物を明示ください。図面は鮮明な状態とし、縮尺上どうしても不明確な状態になる場合は別紙としても問題ありません。別紙とする場合は原則A4版で作成し、(第四面)の次項に添付ください。
- ●【2.配置図】は敷地の状況が分かる図面とし、方位・縮尺・敷地境界・接道する道路種別・敷地に対する計画建物の配置・縮尺・方位・敷地境界線・道路境界線・敷津内における建築物の位置・計画に係る建築物と他の建築物との別・敷地に接する道路の区分名称及び幅員を明示ください。図面は鮮明な状態とし、縮尺上どうしても不明確な状態になる場合は別紙としても問題ありません。別紙とする場合は原則A4版で作成し、(第四面)の次項に添付ください。
■(第五面)
(第五面)は申請建物における非住宅用途部分における面積や評価方法及びその結果を明示する項目です。
- ●【1.非住宅部分の用途】は確認申請書(第四面)に記載の用途番号及び用途名称を記載します。この用途番号が確認申請上変更になると、建築物省エネ法の計画変更に該当する場合があります。
- ●【2.非住宅部分の床面積】のうち、(床面積)は非住宅部分の延べ面積を記載し、(開放部分を除いた部分の床面積)は非住宅部分の(開放部分)の面積を除く面積となります。【イ.新築】は新築部分を、【ロ.増築】は既存+増築部分と増築部分を分けて、【ハ.改築】は全体と改築部分を分けて記載します。これは建築物省エネ法第11条で規定される規模を確認する項目です。
- ●【3.基準省令附則第3条の適用の有無】は増築もしくは改築時に既存部分が法の施行の際(平成28年4月1日)に現に存する建築物である場合に緩和規定を利用する場合に「有」をチェックのうえ竣工年月日を記載して完了検査済証の写しなどを添付する、その他の場合は「無」にチェックします。ここでいう「法の施行の際に現に存する建築物」とは、平成28年3月31日までに完了検査済証が発効されている建築物を示します。
- ●【4.非住宅部分のエネルギー消費性能】は標準入力法・主要室入力法及びモデル建物法で入力の内容が異なります。
標準入力法・主要室入力法で評価を行った場合、「基準省令第1条第1項第1号イの基準」にチェックを行い、計算結果に記載の「基準一次エネルギー消費量(その他を含む)」及び「設計一次エネルギー消費量(その他を含む)」の値を記入し、BEI値(その他を除く)を記入します。
モデル建物法で評価を行った場合、「基準省令第1条第1項第1号イの基準」にチェックを行い、計算結果に記載のBEIm値を記入します。このとき、「基準一次エネルギー消費量」及び「設計一次エネルギー消費量」は空欄のままとなります。
「国土交通大臣が認める方法及びその結果」とは平成31年3月末日現在では、増改築において既存部分をBEI=1.2として計算評価を行う方法のみが該当します。この方法を用いて評価を行った場合、「大臣が認める方法及びその結果」にチェックをして(カッコ内)に「モデル建物法 建築物全体のBEIm=***既存部分のBEIm=1.2として算定)」などと記載ください。
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平成28年4月1日時点で現に存する建築物の増改築 |
平成28年4月1日後、平成29年4月1日以前に建築された建築物の増改築 |
平成29年4月1日後に建築された建築物の増改築 |
既存部分の
BEIの算出 |
当面の間、BEI=1.2としてよい。
※既存部分全体でBEI1.2とすることとし、既存部分の一部だけをBEI1.2として計算することはできない。
※既存部分の仕様を精査し、建築物全体でBEIの算定を行い、既存部分を1.2以外の数値に設定することも可能。ただし、この場合は既存部分についても完了検査の対象となる。 |
増改築部分の
BEIの算出 |
増改築部分の外皮及び設備の仕様を入力してBEIを算出する。
※増改築部分全体が計算対象とならない場合は、本来はBEIを算出することはできないが、便宜上、増改築部分のBEIを1.0として建築物全体を評価してもよい。 |
建築物全体の基準適合の判断 |
BEI≦1.1となればよい |
BEI≦1.0となればよい |
適合の義務 |
増改築のうち非住宅部分の面積が300u以上かつ増改築後の非住宅部分の床面積が2000u以上であり、増改築面積が増改築後の非住宅部分の全体面積の1/2超の増改築の場合であれば基準適合義務の対象。 |
増改築のうち非住宅部分の面積が300u以上かつ増改築後の非住宅部分の床面積が2000u以上であれば、基準適合義務の対象。 |
モデル建物法支援ツール解説P.xvより抜粋
- ●【5.備考】は基本的に入力不要です。ただし、申請棟に評価対象部分が無い場合などで支援ツールによる計算結果が作成されない場合にその旨を記載し、【4.非住宅部分のエネルギー消費性能】で「基準省令第1条第1項第1号イの基準(またはロの基準)」にチェックを行い、BEI=( - )と記入しても問題ありません。
■(第六面): 軽微変更該当証明申請書では書式としてありません。
(第六面)は申請建物における住宅用途部分における面積や評価方法及びその結果を明示する項目です。
- ●【1.建築物の住戸の数】は確認申請における住戸数を記載します。
- ●【2.住宅部分の床面積】のうち、(床面積)は住宅部分の延べ面積を記載し、(開放部分を除いた部分の床面積)は住宅部分の(開放部分)の面積を除く面積となります。【イ.新築】は新築部分を、【ロ.増築】は既存+増築部分と増築部分を分けて、【ハ.改築】は全体と改築部分を分けて記載します。
- ●【3.基準省令附則第2条の適用の有無】は所管行政庁が認定をした場合は「有」にチェックし、(カッコ内)に認定をした所管行政庁名称を記載します。認定が無い場合は「無」にチェックします。
- ●【4.基準省令附則第4条の適用の有無】は増築もしくは改築時に既存部分が法の施行の際(平成28年4月1日)に現に存する建築物である場合、緩和規定を利用する場合に「有」をチェックのうえ竣工年月日を記載して完了検査済証の写しなどを添付する、その他の場合は「無」にチェックします。ここでいう「法の施行の際に現に存する建築物」とは、平成28年3月31日までに完了検査済証が発効されている建築物を示します。
- ●【5.住宅部分のエネルギー消費性能】は住宅部分の面積が300u以上の場合のみ記載します。「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム(国立研究開発法人建築研究所)」による評価を行った場合は上段のチェックボックスをチェックし、その結果を記載します。一次エネルギー消費量に関する仕様基準で行った場合は中段のチェックボックスをチェックし、その結果を記載します。下段「国土交通大臣が認める方法及びその結果」は行った場合はチェックし、その内容を記載します。
■(第七面): 軽微変更該当証明申請書では書式としてありません。
(第七面)は各住戸に関する評価の結果を記載する項目で、それぞれの住戸について個別に記載する必要があります。住宅部分の面積が300u以上の場合のみ記載します。
- ●【1.住戸の番号】は該当する住戸番号を記載します。
- ●【2.住戸に存する階】は該当する住戸が存する階数を記載します。
- ●【3.専用部分の床面積】は該当する住戸の床面積を記載します。
- ●【4.住戸のエネルギー消費性能】は該当する住戸の「1.外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する事項」及び「2.一次エネルギー消費量に関する事項」を記載します。
「1.外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する事項」は性能基準(国土交通省告示第265号「非住宅・住宅計算方法」)による評価の場合は上段にチェックしその結果を記載、仕様基準(外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する仕様基準)の場合は中上段にチェック、認証や外皮計算を用いない場合は中下段にチェック、その他基準対象外の場合は下段にチェックします。
「2.一次エネルギー消費量に関する事項」は「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム(国立研究開発法人建築研究所)」による評価を行った場合は上段のチェックボックスをチェックしその結果を記載、仕様基準の場合は中段のチェックボックスにチェック、下段「国土交通大臣が認める方法及びその結果」は行った場合はチェックしその内容を記載します。
(別紙)は「1.外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する事項」は性能基準または仕様基準を用いた場合にその結果を記載します。
5. 設計内容説明書
設計内容説明書は計画建築物のエネルギー消費性能が建築物省エネ法第11条第1項に掲げる基準に適合するものであることを説明するものです。標準入力法・主要室入力法とモデル建物法で書式が異なります。
「建築物の名称」は計画建物の名称もしくは物件名称を記載する項目で、省エネ計画書(第二面)【5.備考】の内容を記載します。
「建築物の所在地」は省エネ計画書(第三面)【1.地名地番】の内容を記載します。
「設計者等氏名」は省エネ計画書(第二面)に記載のある建築士の建築士の旨の表示、記名を記入し、押印します。
「建築物等の概要」は申請建物の内容を記載する項目です。なお、モデル建物法における「床面積」は省エネ計画書(第三面)【4.延べ面積】もしくは評価対象面積を記入します。よくある間違いで、省エネ計画書(第五面)【2.非住宅部分の床面積】(開放部分を除いた部分の床面積)を記入される場合がありますが、(開放部分)は評価対象外部分ではありませんので除いてはいけません。
標準入力法・主要室入力法の場合、「一次エネルギー」の項目に作成した様式のチェックを入れます。
モデル建物法の場合、「外皮の概要」と「各設備の概要」及び「結果」の該当する項目にチェックを入れます。
「設計者確認欄」は「適」もしくは「否」のチェックを行います。評価を行わなかった設備等は、対象設備が無いなどの確認を行った等の旨を示すため「適」をチェックします。
6. 支援ツール計算結果(標準入力法・主要室入力法またはモデル建物法)
省エネ計画における一次エネルギー消費量に係る基準への適合確認は建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令(平成28年1月29日経済産業省、国土交通省令第1号)に定められた方法を用いて算出し、その方法は以下の通りです。
@基準省令第1条第1項第1号イの方法(標準入力法・主要室入力法)
A基準省令第1条第1項第1号ロの方法(モデル建物法)
これらの方法は建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報(国立研究開発法人建築研究所)にて公開されており、そのプログラムを支援ツールと呼んでいます。各種支援ツールに必要事項を入力し、その結果で基準適合の可否を確認します。その結果を支援ツール計算結果としています。
支援ツールへの入力は支援ツール解説(マニュアル)に記載に従い行いますが、その入力内容は設計図書もしくは根拠資料に明示する必要があります。
支援ツール計算結果は設計図書となりますので建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律施行規則第1条及び建築士法第20条より建築士である旨の表示をして記名及び押印をしなければなりません。ただし、省エネ適判部会QA集 (平成31年4月 版)制度5-1より第1面(様式Aもしくは様式O)又は表紙に建築士の旨の表示・記名・押印を行えば、各項への表示・記名・押印は省略できる、とあります。
7. 設計図書と根拠資料
設計図書は建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律施行規則第1条に必要な図書が明示されています。以下にその図書の種類を記載します。
根拠資料は支援ツール計算結果を作成する際に設計図書だけでは読み取れない部分や、支援ツール解説に記載のある明示事項が設計図書から読み取れない場合などは根拠資料で明示する必要があります。また、機器仕様書や日除け効果係数の計算書なども該当します。
設計図書は建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律施行規則第1条及び建築士法第20条より建築士である旨の表示をして記名及び押印をしなければなりません。ただし、根拠資料に関しては建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律施行規則第1条第2項及び省エネ適判部会QA集 (平成31年4月 版)S制度5-1より表紙に建築士の旨の表示・記名・押印を行えば、各項への表示・記名・押印は省略できます。
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図書の種類 |
明示すべき事項 |
(い) |
設計内容説明書 |
建築物のエネルギー消費性能が建築物エネルギー消費性能基準に適合するものであることの説明 |
付近見取図 |
方位、道路及び目標となる地物 |
配置図 |
縮尺及び方位 |
敷地境界線、敷地内における建築物の位置及び申請に係る建築物と他の建築物との別 |
空気調和設備等及び空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の確保に資する建築設備(以下この表において「エネルギー消費性能確保設備」という。)の位置 |
仕様書(仕上げ表を含む。) |
部材の種別及び寸法 |
エネルギー消費性能確保設備の種別 |
各階平面図 |
縮尺及び方位 |
間取り、各室の名称、用途及び寸法並びに天井の高さ |
壁の位置及び種類 |
開口部の位置及び構造 |
エネルギー消費性能確保設備の位置 |
床面積求積図 |
床面積の求積に必要な建築物の各部分の寸法及び算式 |
用途別床面積表 |
用途別の床面積 |
立面図 |
縮尺 |
外壁及び開口部の位置 |
エネルギー消費性能確保設備の位置 |
断面図又は矩計図 |
縮尺 |
建築物の高さ |
外壁及び屋根の構造 |
軒の高さ並びに軒及びひさしの出 |
小屋裏の構造 |
各階の天井の高さ及び構造 |
床の高さ及び構造並びに床下及び基礎の構造 |
各部詳細図 |
縮尺 |
外壁、開口部、床、屋根その他断熱性を有する部分の材料の種別及び寸法 |
各種計算書 |
建築物のエネルギー消費性能に係る計算その他の計算を要する場合における当該計算の内容 |
(ろ) |
機器表 |
空気調和設備 |
熱源機、ポンプ、空気調和機その他の機器の種別、仕様及び数 |
空気調和設備以外の機械換気設備 |
給気機、排気機その他これらに類する設備の種別、仕様及び数 |
照明設備 |
照明設備の種別、仕様及び数 |
給湯設備 |
給湯器の種別、仕様及び数 |
太陽熱を給湯に利用するための設備の種別、仕様及び数 |
節湯器具の種別及び数 |
空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の確保に資する建築設備 |
空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の確保に資する建築設備の種別、仕様及び数 |
仕様書 |
昇降機 |
昇降機の種別、数、積載量、定格速度及び速度制御方法 |
系統図 |
空気調和設備 |
空気調和設備の位置及び連結先 |
空気調和設備以外の機械換気設備 |
空気調和設備以外の機械換気設備の位置及び連結先 |
給湯設備 |
給湯設備の位置及び連結先 |
空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の確保に資する建築設備 |
空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の確保に資する建築設備の位置及び連結先 |
各階平面図 |
空気調和設備 |
縮尺 |
空気調和設備の有効範囲 |
熱源機、ポンプ、空気調和機その他の機器の位置 |
空気調和設備以外の機械換気設備 |
縮尺 |
給気機、排気機その他これらに類する設備の位置 |
照明設備 |
縮尺 |
照明設備の位置 |
給湯設備 |
縮尺 |
給湯設備の位置 |
配管に講じた保温のための措置 |
節湯器具の位置 |
昇降機 |
縮尺 |
位置 |
空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の確保に資する建築設備 |
縮尺 |
位置 |
制御図 |
空気調和設備 |
空気調和設備の制御方法 |
空気調和設備以外の機械換気設備 |
空気調和設備以外の機械換気設備の制御方法 |
照明設備 |
照明設備の制御方法 |
給湯設備 |
給湯設備の制御方法 |
空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の確保に資する建築設備 |
空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の確保に資する建築設備の制御方法 |
(は) |
機器表 |
空気調和設備 |
空気調和設備の種別、位置、仕様、数及び制御方法 |
空気調和設備以外の機械換気設備 |
空気調和設備以外の機械換気設備の種別、位置、仕様、数及び制御方法 |
照明設備 |
照明設備の種別、位置、仕様、数及び制御方法 |
給湯設備 |
給湯器の種別、位置、仕様、数及び制御方法 |
太陽熱を給湯に利用するための設備の種別、位置、仕様、数及び制御方法 |
節湯器具の種別、位置及び数 |
空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の確保に資する建築設備 |
空気調和設備等以外のエネルギー消費性能の確保に資する建築設備の種別、位置、仕様、数及び制御方法 |
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律施行規則第1条より
8. 「省エネ適合性判定申請(計画変更申請、軽微変更ルートC共)」図書チェック表
当社に省エネ計画書をご提出いただく場合、「省エネ適合性判定申請(計画変更申請、軽微変更ルートC共)」図書チェック表の添付をお願いしています。これは添付図書の「目次」のような役割で、添付に必要な図書の確認用として利用ください。