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脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律等の施行について①

2024/4/23up

「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(改正法)」の一部が、令和6年4月1日に施行されました。今回施行された改正法等による改正後の建築基準法、施行令、施行規則および関連告示等について、その概要を次の5回に分けて紹介します。

①「耐火建築物に係る主要構造部規制の合理化(法第2条第9号の2イ関係)」および「確認申請書の改正」(規則第1条の3等、別記2号様式等関係)

② 大規模木造建築物の主要構造部規制の合理化(法第21条第2項関係)

③「防火規制に係る別棟みなし規定の創設(法第21条第3項、第27条第4項、第61条第2項等関係)」および「防火壁の設置範囲の合理化(法第26条関係)」

④ 防火避難規定に係る既存不適格建築物の増築等に係る規制の合理化(法第86条の7関係)

⑤「排煙設備の設置を要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件(平成12年建設省告示第1436号)」および「壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにすることを要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件(令和2年3月6日国土交通省告示第251号)」の一部改正

今回は、①「耐火建築物に係る主要構造部規制の合理化」と「確認申請書の改正」について紹介します。

耐火建築物に係る主要構造部規制の合理化(法第2条第9号の2イ関係)

従前は、「耐火建築物」は、全ての主要構造部を耐火構造等とすることとされていましたが、法第2条第9号の改正により、主要構造部のうち防火上および避難上支障がない部分は耐火構造等でなくてもよいこととなりました。令第108条の3の改正により、当該防火上および避難上支障がない部分は、「通常の火災が発生した場合に建築物の他の部分又は周囲への延焼を有効に防止できる性能を有する床、壁又は防火設備(特定区画)」で区画されていること等の基準を満たす部分とされています。

特定区画の構造方法は、「主要構造部のうち防火上及び避難上支障がない部分を区画する床等の構造方法を定める件(令和6年国土交通省告示第231号)」で示されています。告示では、特定区画の構造方法、損傷許容主要構造部の構造方法、特定区画と損傷許容主要構造部の接続部分の構造方法、配管や風道が特定区画を貫通する場合の構造方法、特定区画通常火災継続時間の算出方法などが規定されています。なお、主要構造部は、特定主要構造部と損傷許容主要構造部によって構成されるものであり、特定区画は特定主要構造部に位置づけられます。

また、大臣認定制度の運用では、令108条の3に定める基準に適合する壁、床等について、長時間の遮熱性、遮炎性を有する主要構造部の大臣認定や、遮熱性または令第109条の8第2号ロに規定する可燃物燃焼温度を超える温度であって延焼を防止すことができる温度以上に上昇しない性能(準遮熱性)を有する防火設備の大臣認定などが可能となりました。また、特定区画全体に関する大臣認定も可能となっています。

この他、特定区画を有する建築物の表示について規則第8条の4で、特定区画が避難の用に供する廊下等の通路の一部となっている場合の、当該通路を経由せずに地上まで避難できることについて令第108条の3で、層間変形角の制限の対象として令第109条の2の2で、それぞれ規定されています。

確認申請書の改正(規則第1条の3等、別記2号様式等関係)

別記第2号様式(第4面)等の「5. 主要構造部」および「6.建築基準法第21条及び第27条の規定の適用」において、改正により追加された構造の「耐火構造(防火上及び避難上支障がない主要構造部を有する場合)」や「建築基準法施行令第109条の7第1項第1号に掲げる基準に適合する構造」が追加されました。従前とおりの耐火建築物の場合は、「耐火構造(防火上及び避難上支障がない主要構造部を有しない場合)」を選択することになります。

一の建築物を火熱遮断壁等で区画して、防火規制に係る別棟みなし規定の適用を受けた場合には、備考欄にその旨を記入するとともに、各部分について建築基準法第21条、第27条及び第61条の規定の適用の有無を記入することになりました。また、主要構造部の全部または一部に「燃えしろ設計」を用いた建築物では、備考欄にその旨を記入することとして、消防同意時には、その旨が把握できるようになりました。

国土交通省「建築基準法施行規則等の一部を改正する省令」改正前と改正後の差異に関する画像

出典:国土交通省「建築基準法施行規則等の一部を改正する省令」

この他、2023年6月に公布された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」により、建築副主事等に係る二級建築基準適合判定資格者検定が創設されましたが、確認申請書(第一面)では、様式の改正により「建築主事」が「建築主事等」に改められて建築副主事を含む表記となりました。