建築法規と住宅宿泊事業法(民泊新法)2018/6/25up
2017年6月16日に交付された住宅宿泊事業法(民泊新法)が、2018年6月15日に施行されました。国家戦略特別区域法に基づく「特区民泊」では国家戦略特区指定地域が対象地域であり、日数要件として3日から10日までの範囲内で条例の定める期間以上とされていましたが、「民泊新法」では全国が対象になり、日数要件は年間180日以内となります。 建築基準法上の手続き建築基準法上の用途は住宅等であるため、既存の住宅を民泊新法の届出住宅とすることに対して用途変更等の建築確認は必要ありません。また、後述する「安全の確保のために必要な措置」として届出住宅に非常用照明器具を設置する場合における建築基準法87条の2(建築設備の準用)の建築確認は、建築基準法に基づいて設置するものではないため不要と考えられています。 民泊新法における住宅宿泊事業を行う届出住宅とは宿泊営業の実施にあっては、原則、旅館業法の許可が必要ですが、民泊新法に基づく民泊サービスは、この許可を得ることなく住宅宿泊事業を営むことができます。住宅宿泊事業が行われる届出住宅は、人の居住の用に供する住宅を一時的に宿泊事業に活用することから、建築基準法上の「住宅(住宅、長屋、共同住宅、寄宿舎)」であることが条件となります。その要件として、設備要件と居住要件があります。
届出住宅における安全の確保のために必要な措置部屋の構造を熟知していない宿泊者が滞在することが想定されることから、民泊新法では、住宅宿泊事業者に対して、火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全確保を図るための措置を義務付けています。建築基準法で同規模程度のホテル、旅館に求められる安全確保の措置と同様の措置を、国交省告示1109号で定めています。具体的には、次のような措置が規定されています。 (1)非常用照明器具の設置原則は、宿泊室と宿泊室からの避難経路に建築基準法の規定に適合する非常用照明器具の設置が必要です。ただし、居室にあっては、国交省告示1411号による次の部分で非常用照明器具の設置が緩和されます。
また、宿泊室の合計が50u以下で家主が同居している場合は、家主による避難誘導等が期待できるため、非常用照明器具の設置が緩和されます。
(2)防火区画等の措置原則、2以上の宿泊室に複数の宿泊者を同時に宿泊させる場合には、次の(イ)又は(ロ)のいずれかの措置が必要になります。なお、後述する「自動火災報知設備等の設置」による場合や、非常用照明の設置と同様に、宿泊室の合計が50u以下で家主が同居している場合にはこれらの防火区画等の措置を緩和することができます。 (イ)次の1〜5による防火区画を設ける
(1〜3は、強化天井による緩和が適用できます) (ロ)スプリンクラー設備等を設置する床面積が200u以下の階又は200u以内ごとに準耐火構造の壁や防火設備等で区画し、消防法令の技術基準に適合するようにスプリンクラー設備等を設置する。 「自動火災報知設備等の設置」による緩和消防法令による技術基準に適合するように自動火災報知設備等を設置し、居室を次の1〜3のいずれかとする場合には、上述の(イ)又は(ロ)によらないことができる。
(3)「一戸建ての住宅」又は「長屋」の場合の措置届出住宅が一戸建て住宅又は長屋の場合は、次の(1)〜(5)の措置が必要になります。また、各措置には例外が設けられており、これらの例外が同規模のホテル、旅館等に求められる規定と同等のものとなっています。
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