2018年6月27日に公布された建築基準法の一部を改正する法律
(平成30年法律第67号)の施行について(概要)

2019/6/25up

 

2018年6月27日に公布された「建築基準法の一部を改正する法律」の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令案等について(概要)、国土交通省より2019年6月10日に説明会がありました。今まで説明した内容もありますが、2019年6月25日施行の規定の中から設計者の方々に直接関係のありそうな改正の概要について、幾つか抜粋してご紹介します。

改正の概要(今回施行されるもののみ)

(1)密集市街地等の整備改善に向けた規制の合理化

防火地域や準防火地域における延焼防止性能の高い建築物について、建蔽率を10%緩和するとともに、技術的基準を新たに整備されます。(下図参照)

密集市街地等の整備改善に向けた規制の合理化
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(2)既存建築物の維持保全による安全性確保に係る見直し

既存不適格建築物に係る指導・助言の仕組みを導入します。また、維持保全計画の作成が必要となる建築物等の範囲が拡大されます。(下図参照)

既存建築物の維持保全による安全性確保に係る見直し
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(3)戸建住宅等を他用途に転用する場合の規制の合理化

耐火建築物等としなければならない3階建の商業施設、宿泊施設、福祉施設等について、200m2未満の場合は、必要な措置を講じることで耐火建築物等とすることが不要となります。
警報設備を設けた場合に耐火建築物等とすることを要しない用途等(法第27 条第1項第1号関係)は、病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎及び児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものに限る。)となります。(下図参照)

戸建住宅等を他用途に転用する場合の規制の合理化
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また、200m2以下の建築物の他用途への転用は、建築確認手続きが不要となります。また、この改正は法6条1項1号のため、いわゆる4号建築物の範囲が拡大されたことになります。(下図参照)

戸建住宅等を他用途に転用する場合の規制の合理化
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(4)建築物の用途転用の円滑化に資する制度の創設

既存建築物について二以上の工事に分けて用途の変更に伴う工事を行う場合の全体計画認定制度を導入します。今までは増改築や大規模修繕・模様替えのみ全体計画認定制度を適用していましたが、これからは用途変更についても進めやすくなります。

建築物の用途転用の円滑化に資する制度の創設
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また、建築物を一時的に他の用途に転用する場合に一部の規定を緩和する制度が導入されます。

建築物の用途転用の円滑化に資する制度の創設
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(5)木材利用の推進に向けた規制の合理化

耐火構造等としなくてよい木造建築物の範囲を拡大するとともに、中層建築物において必要な措置を講じることで性能の高い準耐火構造とすることを可能とします。

主要構造部等への要求性能 条件となる仕様
主要構造部 防火設備 SP設備 自動火災
報知設備
区画面積 内装制限 敷地内通路の幅員 立地
壁、柱など 階段室の壁 外壁
開口部※2
内部の
区画開口部
75分
準耐火構造
90分
準耐火構造
20分
防火設備
75分
防火設備
あり あり (随時閉鎖)
200m2以下

(常時閉鎖)
500m2以下
天井のみ
準不燃材料
3m以上 用途地域

また、防火・準防火地域内の2m超の門・塀について一定の範囲で木材も利用可能となります。高さ2mを超える門又は塀で、防火地域内にある建築物に附属するもの及び準防火地域内にある木造建築物等に附属するものについては、延焼防止上支障のない構造とすることになります。

具体的な構造方法は、門塀については次のいずれかの構造とします。

  1. @ 不燃材料で造るか、覆うこと(従来の構造)
  2. A 土塗り壁(厚さ30mm以上)
  3. B 厚さ24mm以上の木材で造られたもの

(6)用途制限に係る特例許可手続の簡素化

用途制限に係る特例許可の実績の蓄積がある建築物について、用途制限に係る特例許可の手続において建築審査会の同意を不要となります。(下図参照)

用途制限に係る特例許可手続の簡素化
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出典: 国土交通省資料