区画避難安全検証法の概要

2020/9/25up

2020年4月から、従来の「階避難安全検証法」と「全館避難安全検証法」に加えて、建築物の区画部分に対して適用する「区画避難安全検証法」が追加されました。今回は、この「区画避難安全検証法」について概要を整理します。

■適用除外の規定について

区画避難安全性能を有することが確認された部分は、建築基準法施行令第126条の2(排煙設備の設置)、令第126条の3(排煙設備の構造)、令第128条の5(特殊建築物等の内装(2項、6項、7項と階段に係る部分を除く))などの規定を適用しないことになります。

■検証の単位について

「階避難安全検証法」は建築物の階を、「全館避難安全検証法」は建築物全体を検証単位としているのに対して、「区画避難安全検証法」は、建築物の一つの階の中で準耐火構造の床、壁、遮煙性能を有する防火設備などで区画された部分(区画部分)を検証単位としています。よって、区画から出た後は、通常の仕様規定への適合が求められます。

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「階避難安全検証法」 「全館避難安全検証法」 「全館避難安全検証法」 

区画部分の例

(区画部分の例)

■要求される性能について

検証の対象である区画部分のどの室で火災が発生した場合でも、その区画部分にいる人の全てがその区画部分の出口から区画の外への避難を終了するまでの間、避難上支障がある高さまで煙、ガスが降下しないことが必要です。

■検証の方法について

火災発生時において区画部分からの避難が安全に行われることを、区画部分からの避難に要する時間に基づき検証する方法で行います。

まず、区画部分の各居室について、居室からの避難を終了するまでに要する時間が、その居室において発生した火災により生じた煙、ガスが避難上支障のある高さまで降下するために要する時間を超えないことを確かめます。次に、その区画部分で火災が発生した時点から、その区画部分にいる人の全てが区画部分から避難を終了するまでに要する時間が、その区画部分の各火災室で発生した火災により生じた煙、ガスが避難上支障のある高さまで降下するために要する時間を超えないことを確かめます。

具体的な計算方法は、「令和2年国土交通省告示第509号」に定められていますが、その方法は従来からある「階避難安全検証法」と同様です。

なお、令第128条の6では、避難に要する時間に基づく検証方法に加えて、避難を終了した時における煙層の高さを用いて避難安全性能を検証する方法も新たに告示で規定できることになっていますが、具体的な告示は、現在のところ定められていません。

出典:国土交通省(建築基準法施行令の一部を改正する政令等の施行について(技術的助言))

国土交通省資料(平成30年改正建築基準法に関する説明会(第2弾))