「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令」について

2020/11/25up

公立小学校等を建築物移動等円滑化基準(いわゆる建築物バリアフリー基準)への適合義務の対象となる特別特定建築物に追加等する 「 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令」が 、令和2年9月29日に閣議決定されました。

概要としては、一定規模以上の建築をしようとするときに建築物移動等円滑化基準適合義務の対象となる特別特定建築物の範囲が拡大されることになりました。

具体的には、公立小学校等の特別特定建築物への追加(第5条第1号)です。
建築物移動等円滑化基準適合義務の対象となる特別特定建築物として、小学校、中学校、義務教育学校及び中等教育学校(前期課程に係るものに限る。)で公立のもの(ここでいう「公立のもの」とは、地方公共団体の設置する学校をいい、国の設置する学校は除く)を追加されますので、強化されたことになります。政令改正公布日が令和2年10月2日で施行日は 令和3年4月1日になります。

令和2年10月にもパブコメが出ており、こちらは緩和する方向の内容です。
内容としては、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の 第 14 条第 1 項 に より 、 特別特定建築物の政令で定める規模(2000u)以上の建築をしようとするときは、当該特別特定建築物を、政令で定める建築物移動等円滑化基準に適合させなければならないとされている。加えて、同条第3項により、地方公共団体は、条例で適合義務の対象規模を引下げ、又は建築物移動等円滑化基準に必要な事項を付加することができる。」となっています。

現行の建築物移動等円滑化基準は2000u以上の大規模の建築物を想定して定めているため、小規模の建築物に当てはめた場合に建築主等にとって過度に負担の生じるものとなる場合も考えられ、条例制定が進まない一因となっています。

このため、政令を改正し、地方公共団体がより柔軟に条例による規模引き下げを行うことができるよう、500u未満の小規模の特別特定建築物についての建築物移動等円滑化基準を見直すことになっています。

具体的な内容としては、条例対象小規模特別特定建築物についての建築物移動等円滑化基準を新設し、地方公共団体が条例で適合義務の対象となる建築の規模を500u未満で定めた場合における500u未満の特別特定建築物を「条例対象小規模特別特定建築物」といい、道等から利用居室までの経路のうち一以上を移動等円滑化経路とし、当該経路を構成する出入口、廊下、傾斜路、エレベーター、敷地内通路等を高齢者、障害者等が円滑に利用することのできるものとします。

  • 移動等円滑化経路を構成する廊下等、傾斜路及び敷地内通路の幅を90p以上とすること
  • 移動等円滑化の措置が取られたエレベーター等にはその旨の標識を設けること
等を定めています。

これら以外の基準については、地方公共団体が規模等を勘案して条例で設定することができます。
今後のスケジュール(予定)は公布が令和2年12月上旬、施行が令和3年10月1日です。

出典:国土交通省(住宅局)「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令案について(概要)
国土交通省(プレスリリース)「公立小学校等のバリアフリー化を進めます