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建築基準法施行令等の改正について
〜近年の社会経済情勢の変化に鑑みた所要の規定の合理化〜

2022/12/20up

近年の社会経済情勢の変化に鑑み、建蔽率規制の合理化、定期調査・報告等の対象および換気規制の見直し、防火規制および避難規制の合理化を図るため、建築基準法施行令および関係省令について、所要の改正が行われることとなり、パブリックコメントによる意見公募が行われました。以下では、改正が予定されている政省令のうち主に建築確認に係わりのある部分について、その概要を紹介します。

建築基準法施行令

(1)一定の軒等に係る建蔽率算定上の建築面積の算定方法の合理化(令第2条第1項第2号関係)

物流倉庫において大規模な軒等を設けている場合、これらの軒等について1mを超える部分は建築面積に算入され、建蔽率規制との関係で建築物本体のスペースが十分に確保できなくなるという不合理な状況が生じているため、一定の軒等に係る建蔽率算定上の建築面積の算定方法を合理化するものです。
改正の内容は、建築物の建蔽率の算定の基礎となる建築面積の算定に当たり、工場または倉庫の用途に供する建築物の外壁またはこれに代わる柱の中心線から水平距離1m以上突き出た軒等で、専ら貨物の積卸しその他これに類する業務のために設けるもののうち、当該軒等の端と敷地境界線との間の敷地の部分に有効な空地が確保されていることその他の理由により安全上、防火上および衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定めるものについて、その端から水平距離5mまで後退した線より外側の部分を算入しないこととするものです。なお、「国土交通大臣が定めるもの」については、別途パブリックコメントの実施が予定されています。

(2)耐火性能に関する技術的基準のうち非損傷性に係る性能要求時間の合理化(令第107条関係)

中高層の木造耐火建築物の建築ニーズに対応するため、技術的検証に基づき、建築物の安全性を確保しつつ、最上階から数えた階数が5以上で9以内の階の壁(耐力壁である間仕切り壁および外壁)、柱、床および梁等に係る耐火性能要求時間を合理化するものです。
改正の内容は、法第2条第7号に基づき耐火性能に関して政令で定める技術的基準に、次の建築物の部分に通常の火災による火熱が当該部分の存する階の区分に応じた時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることとするものです。

・最上階から数えた階数が5以上で9以内の階の間仕切壁および外壁(耐力壁に限る)、柱、床並びに梁:1時間30分
・最上階から数えた階数が15以上で19以内の階の柱および梁:2時間30分

それぞれの技術的基準に適合する構造方法として国土交通大臣が定めるものについては、別途パブリックコメントの実施が予定されています。

(3)無窓居室に係る避難規制の合理化(令第111条、第120条第1項関係)

コロナ禍を踏まえたテレワーク需要の高まり等を受け、既存のオフィスビルを間仕切壁の増設等によりシェアオフィスへと改修するニーズが高まっていることに対応するため、技術的検証に基づき、建築物の安全性を確保しつつ、避難上支障がない場合において、無窓居室から直通階段までの歩行距離の上限を無窓居室以外の居室と同等まで引き上げるなど、無窓居室に係る避難規制を合理化するものです。
改正の内容は、無窓居室のうち、居室からの避難の用に供する通路の構造並びに消火設備、排煙設備、非常用の照明装置および警報設備の設置状況および構造に関し避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものについては、法第35条の3の規定(無窓の居室等の主要構造部の耐火構造化等)を適用しないこととするものです。また、居室から避難階または地上に通ずる直通階段までの歩行距離の制限(令第120条第1項)において、無窓居室のうち、居室の床面積、居室からの避難の用に供する通路の構造並びに消火設備、排煙設備、非常用の照明装置および警報設備の設置の状況および構造に関し避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものについては、無窓居室でない居室と同様の規制を適用することとするものです。なお、「国土交通大臣が定める基準」については、別途パブリックコメントの実施が予定されています。

建築基準法施行規則

(1)建築確認申請時の書類の追加(規則第1条の3第1項)

建築確認申請時の提出書類について、令の改正に伴い、建築基準関係規定に適合することを確認するために新たに必要となる図書を追加することが予定されています。

これら政省令の改正は、令和4年12月に公布し、令和5年4月1日に施行される予定です。

出典:
「建築基準法施行令の一部を改正する政令案等について」(令和4年10月 国土交通省住宅局)