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建築基準法施行令の一部を改正する政令の施行に伴う関係告示の規定の整備について(概要)

2023/3/24up

「建築基準法施行令の一部を改正する政令(令和5年政令第34号)」が、令和5年2月10日に公布されました。この改正令の施行に伴い、必要となる関係告示の制定、改正等が予定されています。このうち主に建築確認に係わる告示の制定、改正等の概要について以下に記載します。これらの関係告示は、3月中に公布され、改正令と同じ令和5年4月1日に施行される予定です。

I.直通階段までの歩行距離を建築基準法施行令第116条の2第1項第1号に該当する窓その他の開口部を有する居室と同等としても避難上支障がない居室の基準を定める件の新設(令第120条第1項の表の(−)項関係)

直通階段までの歩行距離を建築基準法施行令(令)第116条の2第1項第1号に該当する窓その他の開口部を有する居室と同等としても避難上支障がない居室の基準は、次の(1)から(5)までのいずれにも該当すること。

(1)次の①または②のいずれかに該当すること。

① 床面積が30u以下の居室*1であること
② 居室*1および当該居室から地上に通ずる建築物の部分(採光上有効に直接外気に開放された部分を除く)が令第126条の5に規定する構造の非常用の照明装置を設けたものであること

*1 居室:病院、診療所(患者の収容施設を有するものに限る)若しくは児童福祉施設等*2の用に供するものまたは地階に存するものを除く

*2 児童福祉施設等:令第115条の3第1号に規定する児童福祉施設等をいい、通所のみにより利用されるものを除く

(2)令第110条の5に規定する技術的基準に適合する警報設備(自動火災報知設備に限る)を設けた建築物の居室であること。

(3)居室から避難階または地上に通ずる直通階段に至る廊下その他の通路が、次の@またはAのいずれかに該当すること。

① 不燃材料で造り、または覆われた壁若しくは戸*3で令第112条第19項第2号に規定する構造であるもので区画されたものであること
② 令第128条の6第2項に規定する火災の発生のおそれの少ない室(火災の発生のおそれの少ない室)に該当する場合を除き、スプリンクラー設備等*4を設けており、かつ、スプリンクラー設備等*4を設けた室以外の室(火災の発生のおそれの少ない室を除く)に面しないこと

*3 戸:戸にあっては、ふすま、障子その他これらに類するものを除く

*4 スプリンクラー設備等:スプリンクラー設備(水源として、水道の用に供する水管を当該スプリンクラー設備に連結したものを除く)、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のもの

(4)(3)に定める直通階段が次の①または②のいずれかに該当すること。

① 当該直通階段の階段室が、その他の部分と準耐火構造の床若しくは壁または建築基準法(法)第2条第9号の2ロに規定する防火設備で令第112条第19項第2号に規定する構造であるもので区画されていること
② 屋外に設けられ、かつ、屋内から当該直通階段に通ずる出入口に①の防火設備を設けたものであること

(5)居室から避難階または地上に通ずる直通階段に至る廊下その他の通路が、火災の発生のおそれの少ない室に該当すること。
ただし、当該通路に存する室のうち火災の発生のおそれの少ない室に該当しない居室であって、不燃材料で造り、または覆われた壁若しくは戸*3で令第112条第19項第2号に規定する構造であるもので区画されたものについて、次の@からBまでに定めるところにより、当該居室で火災が発生した場合において当該居室からの避難が安全に行われることを火災により生じた煙またはガスの高さに基づき検証する方法により確かめられた場合は、この限りでない。

① 当該居室に存する者(当該居室を通らなければ避難することができない者を含む)の全てが当該居室において火災が発生してから当該居室からの避難を終了するまでの時間を、令和3年国土交通省告示第475号第1号イおよびロに掲げる式に基づき計算した時間を合計することにより計算すること
② ①によって計算した時間が経過したときにおける当該居室において発生した火災により生じた煙またはガスの高さを、令和3年国土交通省告示第475号第2号に掲げる式に基づき計算すること
③ ②によって計算した高さが、1.8mを下回らないことを確かめること

*3 戸:戸にあっては、ふすま、障子その他これらに類するものを除く

II.主要構造部を耐火構造等とすることを要しない避難上支障がない居室の基準を定める件(令和2年国土交通省告示第249号)の一部改正(令第111条第1項関係)

主要構造部を耐火構造等とすることを要しない避難上支障がない居室の基準として、次の(1)から(6)までのいずれにも該当する居室であることを追加する。

(1)次の①および②に該当すること。

① 寝室、宿直室その他の人の就寝の用に供するもの、病院、診療所(患者の収容施設を有するものに限る)若しくは児童福祉施設等*2の用に供するものまたは地階に存するものに該当しない居室であること
② 居室から地上に通ずる建築物の部分(採光上有効に直接外気に開放された部分を除く)が令第126条の5に規定する構造の非常用の照明装置を設けたものであること

*2 児童福祉施設等:令第115条の3第1号に規定する児童福祉施設等をいい、通所のみにより利用されるものを除く

(2)I.(2)と同じ。

(3)I.(3)①または②のいずれかに該当すること。

(4)(3)に定める直通階段がI.(4)①または②のいずれかに該当すること。

(5)I.(5)と同じ。

(6)避難階における階段から屋外への出口に通ずる廊下その他の通路*5が、準耐火構造の床若しくは壁または法第2条第9号の2ロに規定する防火設備で令第112条第19項第2号に規定する構造であるもので区画されていること。

*5 避難階における階段から屋外への出口に通ずる廊下その他の通路:火災の発生のおそれの少ない室に該当するものに限る。ただし、当該建築物の部分にスプリンクラー設備等を設けた場合はこの限りでない。

III.耐火構造の構造方法を定める件(平成12年建設省告示第1399号)の一部改正(法第2条第7号関係)

耐火性能に関する技術的基準(令第107条第1号にあっては、通常の火災による火熱が1.5時間加えられた場合のものに限る)に適合する壁、柱、床およびはりの構造方法として、次の(1)から(3)までの仕様を追加する。

(1)耐力壁である間仕切壁または外壁であって、間柱および下地を木材または鉄材で造り、かつ、その両面に防火被覆(強化せっこうボード*6を3枚以上張ったもので、その厚さの合計が63mm以上のものに限る)が設けられたもの

(2)柱またははりであって、木材または鉄材に防火被覆(強化せっこうボード*6を3枚以上張ったもので、その厚さの合計が63mm以上のものに限る)が設けられたもの

(3)床であって、根太および下地を木材または鉄材で造り、かつ、その表側の部分およびその裏側の部分または直下の天井に防火被覆(強化せっこうボード*6を3枚以上張ったもので、その厚さの合計が63mm以上のものに限る)が設けられたもの

*6 強化せっこうボード:ボード用原紙を除いた部分のせっこうの含有率を95%以上、ガラス繊維の含有率を0.4%以上とし、かつ、ひる石の含有率を2.5%以上としたものに限る

出典:
「建築基準法施行令の一部を改正する政令の施行に伴う関係告示の規定の整備について(概要)」(令和5年2月 国土交通省住宅局)