TOPページ > ニュース > 法改正トピックス > 2024年4月より「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」が始まる予定です

 

2024年4月より「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」が始まる予定です

2023/6/27up

2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減(2013年度比)の実現に向けて、2022年6月に建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成27年法律第53号。以下「建築物省エネ法」)が改正され、建築物の販売・賃貸時における省エネ性能表示について制度が強化されました。
これを受けて、改正法に基づく表示ルール、制度の施行に向けた表示の促進方策として「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」が2024年4月1日より施行される見通しです。詳しくは国土交通省「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」のサイトをご覧ください。政府の削減目標を踏まえた建築物分野の省エネ対策の強化に関するロードマップとして、以下施策が決定しています。

1.2025年度に建築省エネルギー基準適合義務対象が「住宅」および「小規模建築物」へ拡大

(1)省エネ基準への適合性審査を不要とする建築物が以下に限定されます

■建築確認の対象外の建築物(第12条改正)※1

■建築基準法における審査・検査省略の対象である建築物(第11条第2項改正)※2

(2)省エネ基準への適合性審査が容易な建築物の省エネ適判手続きが省略されます(第12条改正)※3

適合義務対象建築物における手続き・審査の要否

※1 都市計画区域・準都市計画区域の外の建築物(平屋かつ200u以下)
※2 都市計画区域・準都市計画区域の内の建築物(平屋かつ200u以下)で、建築士が設計・工事監理を行った建築物
※3 仕様基準による場合(省エネ計算なし)等

2.2030年度以降新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保

整合的な誘導基準・住宅トップランナー基準の引き上げ、省エネルギー基準の段階的な水準の引き上げを遅くとも2030年度までに実施。一方で、現状のZEH・ZEB水準の省エネ性能への適合率は、住宅:14%、非住宅建築物:26%(2019年度時点の推計値)にとどまることから、建築物を購入・賃借する消費者・事業者(以下「消費者等」という。)の関心を大きく高め、省エネ性能が高い建築物が選択されやすい市場環境を整備することが不可欠であり、消費者等が建築物を購入・賃借する際に、その省エネ性能を把握し、性能の高低を比較検討することができるよう、法改正により、制度面から省エネ性能表示の強化が図られました。

3.建築物の省エネ性能表示制度の強化

改正後の省エネ性能表示制度では、建築物の販売・賃貸時の表示事項および表示方法等の遵守事項を国土交通大臣が「告示」で定めるとともに、告示に従って表示していないと認める場合、国土交通大臣が販売・賃貸事業者に対し、告示に従って表示を行うよう勧告することができる等の措置が追加されました(改正法による改正後の建築物省エネ法 第3章の2)。これを受けて、国土交通省では改正法に基づく表示ルールの検討を行うとともに、制度の施行に向けた表示の促進方策を検討することを目的として、「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」を設置し、議論が進められています。

4.建築物の販売・賃貸時の省エネ性能の表示ルールについて(とりまとめ)(令和5年3月3日公表)

※本件はまだ最終決定事項ではなく今後議論によって変更される内容も含んでおりますのであらかじめご承知おきください。

表示ルールは「告示」および「ガイドライン」により定められます。告示*1とガイドライン*2については以下の予定となっています。

  • 2023年7月上旬頃 関連告示の公布、ガイドライン(第1版)の公表
  • 2023年7月下旬以降 ガイドライン(第1版)を用いた事業者向け周知を開始

*1 告示:勧告等の措置に関わるもので、建築物の販売・賃貸に係るさまざまな表示の場面で共通的に必要な内容が定められます。
*2 ガイドライン:建築物の省エネ性能表示の普及拡大の観点から望ましいあり方が示されます(消費者等向け追加情報の内容等)。

(1)表示すべき事項

省エネ性能を多段階に評価した結果を、評価時点と併せて表示(予定)

参考:ラベルのデザインイメージ(募集要領にデザイン例として掲載したもの)

■住宅について

①外皮性能:断熱等性能等級(住宅品確法)等級1〜7により段階的に表示
②一次エネルギー消費量の性能:省エネ基準から0〜30%削減まで段階的に表示
再エネ利用設備を設置している場合、最大50%削減まで表示可(この場合、再エネによる削減効果を加味した性能を、区別できるように表示)。

■非住宅建築物について

一次エネルギー消費量の性能:省エネ基準から0〜50%削減まで段階的に表示(住宅と同様、再エネも表示)

(2)表示の方法

国が様式を定めるラベルによる表示となります。ラベルには、表示すべき事項のほか、以下の事項の付加が可能です(予定)

①再エネ利用設備(太陽光発電設備等)が設置されている場合
②第三者評価(BELS)を受けている場合
③住宅の目安光熱費(設計上のエネルギー消費量を年額の光熱費の目安額に換算)
ラベルは、販売・賃貸時の広告に掲載するほか、広告を行わない場合は、事業者のウェブサイトや建築物に関する調査報告書等に掲載が必要となります。

(3)その他遵守すべき事項

  • 当初表示を実施後、星の数・等級等、評価が低下する仕様等の変更が生じた場合、変更後の仕様に準じた表示とする
  • 本制度の施行(R6年度予定)以前に新築された建築=既存建築物の表示すべき事項等は上記の限りではない(代替表示の内容をガイドラインに示す予定)。

5.消費者等に対する追加的な情報提供(予定)

建築物の省エネ性能に関し、消費者等に対して追加的な情報提供を行う際の表示事項

  • 一次エネルギー消費量の性能や外皮性能に関する性能値
  • 建築物省エネ法の各基準への適否
  • ZEH・ZEBに関する情報(各性能値と要件の関係を補足)
  • 住宅の目安光熱費(算出に用いた燃料単価等や、実際の光熱費とは異なる旨等の注記を含む)
  • 販売・賃貸事業者が自ら評価書を作成することを可能とするとともに、情報の客観性を高める第三者評価※の取得も推奨。
    ※登録建築物省エネルギー判定機関等の審査機関が行う省エネ性能の評価
建築物エネルギー消費性能の評価書のイメージ(住宅の場合)

6.建築時に省エネ性能を評価していない既存建築物についての対応

建築時に省エネ性能を評価していない既存建築物についても、その特性を踏まえた表示を行うことができるよう、告示に定める表示事項等の代替となる表示を検討し、その結果がガイドラインに反映される予定です。

住宅

高断熱窓・高効率給湯機への改修を行っている旨の広告等における表示のほか、実績値に基づく表示の可能性についても、国交省・経産省連携の下で検討されます。
※既存建築物であっても、建築時に省エネ性能を評価している場合は、告示に従った表示を推奨

非住宅建築物

運用段階のエネルギー消費量の実績値に着目した表示について、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)の貸事務所業のベンチマーク制度を参考に、国交省・経産省連携の下で検討されます。

7.全体スケジュール(予定)

  • 2023年3月3日 とりまとめの公表
  • 2023年4月7日 ラベルのデザイン公募(〜4/28)
  • 2023年4月27日 オブザーバー各団体との意見交換
  • 2023年5月26日 第4回検討会の開催
    → 検討会後、告示・ガイドライン案についてパブリックコメント募集(約1ヶ月)
  • 2023年7月上旬頃 関連告示の公布、ガイドライン(第1版)の公表
  • 2023年7月下旬以降 ガイドライン(第1版)を用いた事業者向け周知を開始
  • 2024年4月(予定) 改正法に基づく表示制度の施行

既存建築物の表示スケジュール

  • 2023年10月頃 既存住宅の代替表示(案)の提示
  • 2024年4月頃 既存非住宅の代替表示(素案)の提示

※とりまとめを踏まえた検討状況について検討会に報告予定

出典:
○ 国土交通省「建築物省エネ法について」
○ 国土交通省「
建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会