高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)施行令の一部を改正する政令等の施行について2025/05/27up
便所、劇場等*1の客席および駐車場のバリアフリー化を促進するため、昨年(令和6年)6月から11月にかけて政省令の改正や新たな告示等が公布され、今年(令和7年)6月1日に施行されます。以下では、これらの改正概要についてご説明します。 *1 劇場等:劇場、観覧場、映画館若しくは演芸場または集会場若しくは公会堂
便所に係る義務基準および誘導基準の見直し(政令第14条関係、誘導基準省令第9条関係)不特定多数利用便所の設置について不特定かつ多数の者が利用し、または主として高齢者、障害者等が利用する便所(不特定多数利用便所)は、原則として、これらの者が利用する階の階数に相当する数以上設け、不特定多数の者等の利用上支障のない位置に設けることが必要となります。このため、標準的なケースでは各階に不特定多数利用便所を設けることとなりますが、一定の理由により当該便所を設けないことがやむを得ない階などに対しては、緩和規定も設けられています。
![]()
車椅子使用者用便房の設置に係る義務基準について不特定多数利用便所を設ける階(便所設置階)には、原則として、当該便所のうち1以上に、車椅子使用者用便房を1以上*2設ける必要があります。また、不特定多数の者等が利用する部分の床面積が1,000u未満(小規模階)の場合の緩和や、10,000uを超える階における強化等も定められています。
![]() *2 車椅子使用者用便房に男子用および女子用の区別を設ける場合は、それぞれ1以上 車椅子使用者用便房の設置に関する誘導基準について多数の者が利用する便所(多数利用便所)内または当該便所の近接する位置に、車椅子使用者用便房を1以上設ける必要があります。 劇場等の客席に係る義務基準の創設および誘導基準の見直し(政令第15条関係【新設】、誘導基準省令第9条の2関係)劇場等の客席に係る義務基準について劇場等の客席には、車椅子使用者用部分を次の数以上設ける必要があります。
*3 端数は切り上げ 車椅子使用者用部分の構造について
劇場等の客席の出入口から車椅子使用者用部分への経路は、移動等円滑化経路の基準に適合する必要があります。
![]()
劇場等の客席に係る誘導基準について劇場等の客席には、誘導基準適合車椅子使用者用部分を次の数以上を設ける必要があります。
*4 端数は切り上げ 車椅子使用者用部分の構造について
劇場等の客席の出入口から誘導基準適合車椅子使用者用部分への経路は、移動等円滑化経路の基準に適合する必要があります。
![]()
駐車場に係る義務基準および誘導基準の見直し(政令第18条、誘導基準省令第12条関係)駐車場に係る義務基準について不特定多数の者等が利用する駐車場には、車椅子使用者用駐車施設を次の数以上設ける必要があります。
*5 端数は切り上げ なお、出入口の部分に車椅子使用者が円滑に自動車に乗降することが可能な場所が設けられている機械式駐車場を車椅子使用者用駐車施設として設けることも可能とされています。
![]()
また、同一敷地内に複数の駐車場を設ける場合の車椅子使用者用駐車施設の必要設置数の算定に当たっては、駐車施設の総数に対する必要な数を算定することとなります。 駐車場に係る誘導基準について多数の者等が利用する駐車場に対して駐車施設数の2%以上(端数は切り上げ)の車椅子使用者用駐車施設を設ける必要があります。また、義務基準と同様に一定の基準を満たした機械式駐車場を車椅子使用者用駐車施設として設けることも可能です。 バリアフリー法の改正に関する情報は、下記の国土交通省のウェブサイトに掲載されています。 また、日本建築行政会議のサイトでは、本改正に対応した「バリアフリー法逐条解説(建築物)追補版」や、追補版・参考V「政令第14条チェックリスト・参考様式(便所)」のExcelデータなども掲載されていますので合わせてご確認ください。 |
© Bureau Veritas Japan