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建築物に係る防火関係規制の見直し等について〜関係告示等の制定および改正〜

2025/10/14up

令和7年9月3日公布の「建築基準法施行令の一部を改正する政令」が同年11月1日に施行されるのに伴い、防火、排煙、避難等に関する規制の見直しが行われます。これに伴う関連告示の制定・改正が予定されています。その概要は次のとおりです。

1. 防火区画等の内装制限の見直し

 政令改正(施行は11月1日予定(以下、同様))により、高層区画、竪穴区画、避難階段、特別避難階段などにおける天井や壁の仕上げおよび下地に係る規定に関して、現行の不燃材料または準不燃材料による措置に加え、国土交通大臣が定める基準に従った「これに準ずる措置」が講じられたものについても、令で規定する防火区画の面積について緩和できる等の合理化が行われました。これに伴い、次のとおり告示の新設または改正が予定されています。

  • 仕上げおよび下地を準不燃で造ることに準ずる措置の基準を制定(新設)
  • 仕上げおよび下地を不燃で造ることに準ずる措置の基準を制定(新設)
  • 排煙告示1436号において仕上げおよび下地を不燃材料で造ることとしている部分についても、この新設告示の規定を適用(平成12年建設省告示第1436号の改正)

2. 小屋裏隔壁規定の合理化

 政令改正により、建築面積が300uを超える建築物の小屋組が木造である場合において、小屋裏の直下の天井の全部を強化天井とするか、または桁行間隔12m以内ごとに小屋裏に準耐火構造の隔壁を設けることを要しない建築物として、新たに、各室および各通路について、国土交通大臣が定める室および通路を除き、壁および天井の室内に面する部分の仕上げ等に応じて国土交通大臣が定める基準に適合する建築物が追加されました。これに伴い、次のとおり告示の新設が予定されています。

  • 避難上および延焼防止上支障がない室および通路の規定(新設)
  • 避難上および防火上支障がないものとして定める基準の制定(新設)

3. 無窓居室に該当する居室の基準の合理化

 政令改正により、令第116条の2第1項および第128条の3の2に規定するいわゆる無窓居室に該当する居室の基準としての排煙口の面積に係る基準について、天井のほか、壁における床面から天井までの垂直距離に応じて国土交通大臣が定める部分を開放できる部分とした上で、居室におけるその開放できる部分の面積の当該居室の床面積に対する割合の上限については、排煙上有効なものとして国土交通大臣が定める構造方法を用いる給気口および排気口が設けられた場合においては、国土交通大臣が定める方法により算出した値とすることができることになりました。これに伴い、次のとおり告示の新設が予定されています。

  • 無窓居室に該当する居室の基準となる開口部の部分の合理化として、居室の床面から天井までの垂直距離が「2.6m以下」の場合と「2.6mを超える」場合でそれぞれ設定(新設)
  • 開放できる部分として求められる面積の緩和を受けるために必要な排煙上有効な給気口および排気口の構造方法についての基準を制定(新設)

4. 排煙設備に関する規定の合理化

 政令改正により、令第126条の2に規定する排煙設備の設置を要しない防煙壁による区画に係る基準について、居室の床面積に応じ、国土交通大臣が定める下端からの床面までの距離にある準耐火構造であるものについても防煙壁として区画をすることが可能となりました。また、令第126条の3に規定する排煙設備の構造のうち、同条第1項第3号に規定する排煙口の壁の上部に設置する際の位置について、現行は令に具体的な基準が定められていますが、その位置について実態に応じてより柔軟に基準を規定できるよう国土交通大臣が定めることに改正されました。これに伴い、次のとおり告示の新設が予定されています。

  • 準耐火構造の防煙壁により区画を行う場合は、火元から火炎が接炎しないよう床面から当該防煙壁の下端までに確保すべき垂直距離について、居室または防煙区画ごとに、居室等の床面積に応じた基準を設定(新設)
  • 排煙設備が適合しなければならない構造の基準のうち、排煙口を設けた場合に火災時に生ずる煙を有効に排出することができる壁の部分について、居室の床面から天井までの垂直距離が「2.6m以下」の場合と「2.6mを超える」場合でそれぞれ設定(新設)

5. 大規模な木造建築物等に係る敷地内の通路等の規定の合理化

 令第128条の2第1項において、延べ面積1,000uを超える大規模木造建築物等の場合などでは敷地内におけるその周囲に、原則として3mの通路を設けなければならない等と規定されています。政令改正により、この敷地内通路の規定について、その周囲の状況等に応じて国土交通大臣が定める部分を除いた上で、除いた部分以外の周囲の部分においては、国土交通大臣が有効なものとして告示で定める具体的な状況に応じて柔軟に定めることができるとする合理化が行われました。これに伴い、次のとおり告示の新設が予定されています。

  • 令第128条の2第1項に規定する敷地内通路に係る規制の対象から除かれる部分として、空地等の条件を設定(新設)
  • 現行は、幅員が3m以上(3,000u以下の場合の隣地境界線に接する部分は、1.5m以上)の通路を設けることが求められているところを、一定の条件を満たす場合に1.5mに緩和(新設)

6. 難燃材料でした内装仕上げに準ずる仕上げを定める件(平成12年建設省告示第1439号)の改正

 令第128条の5第1項第1号ロなど規定により、難燃材料でした内装仕上げに準ずる仕上げを定める件(平成12年建設省告示第1439号)において、難燃材料等による内装仕上げに準ずる措置が定められています。実験等により難燃材料でした内装仕上げと同等の性能が確認されたことから、新たな措置等が追加されます。(新設)

7. その他、所要の改正

 施行:令和7年11月1日(予定)

 改正告示等の詳細は、パブリックコメントで確認できます。
 → 建築基準法施行令の一部を改正する政令の施行に伴う関係告示の規定の整備に関する意見募集について