建築基準法は、常に今後の建築基準制度について現状の内容でよいかを、時代と共に変化する社会情勢を反映して必要な改正が行われています。
近年の建築技術に関する研究開発の進展や技術的知見の蓄積に伴い、火災が発生した時に、火災の拡大を防ぎ、建築物における在館者を安全に避難させることを目的とした防火・避難関係規定について、安全性の確保を前提としつつ、建築物の特性に応じた基準の設定や既存の規定の合理化が可能となりました。このことを踏まえ、建築基準法施行令における必要な改正が平成から令和にかけて行われました。
具体的には、防火・避難関係規定の合理化を中心に改正されており、たとえば、異種用途区画が必要とされている建築物の用途でも、一定の基準に従い警報設備を設置するなどの措置が講じられている場合は、異種用途区画を不要とすること。2以上の直通階段の設置の規定は、階数が3以下で延べ面積が200�u未満の建築物で階段の、部分が区画されているなどの一定の基準に従えば適用しなくてもよいことなどの改正が行われています。
また、避難安全検証法では、これまで階と全館で検証する方法しかありませんでしたが、建築物の区画での検証が可能になり、区画部分の避難安全性能が検証された場合は、排煙設備と内装制限に関する規定の適用を除外できることになりました。さらに、避難に要する時間の計算方法の見直しや煙の高さによる避難安全検証法の追加など、一定の基準を満たせば緩和できることになりました。
このように建築基準法は時代とともに変化する社会にあわせて柔軟に改正が行われてきましたが、それを個人ですべて把握していくのは至難の業です。そこで本書は、一定期間ごとに見直しを行い、近年の改正法令の情報を織り込みつつ、確認申請を丁寧に解説するよう努めております。設計者、施工者、確認申請に携わる方にとって有意義に活用して頂ければ幸いです。