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脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律等の施行について②

2024/5/16up

「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(改正法)」の一部が、令和6年4月1日に施行されました。今回施行された改正法等による改正後の建築基準法、施行令、施行規則および関連告示等について、その概要を次の5回に分けて紹介します。

「耐火建築物に係る主要構造部規制の合理化(法第2条第9号の2イ関係)」および「確認申請書の改正」(規則第1条の3等、別記2号様式等関係)

② 大規模木造建築物の主要構造部規制の合理化(法第21条第2項関係)

③「防火規制に係る別棟みなし規定の創設(法第21条第3項、第27条第4項、第61条第2項等関係)」および「防火壁の設置範囲の合理化(法第26条関係)」

④ 防火避難規定に係る既存不適格建築物の増築等に係る規制の合理化(法第86条の7関係)

⑤「排煙設備の設置を要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件(平成12年建設省告示第1436号)」および「壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにすることを要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件(令和2年3月6日国土交通省告示第251号)」の一部改正

今回は、②「大規模木造建築物の主要構造部規制の合理化(法第21条第2項関係)」について紹介します。

大規模木造建築物の主要構造部規制の合理化(法第21条第2項関係)

延べ面積が3,000uを超える木造建築物等(大規模木造建築物)について、今までは、主要構造部を耐火構造とするか、または床面積3,000u以内毎に耐火構造の「壁等」で区画するかのいずれかの方法が要求されていました。今般の改正により、大断面の木材をあらわしで使用する構造等が可能となるよう性能規定化が行われました。

大規模木造建築物は、その壁、柱、床その他の建築物の部分または防火戸その他の政令で定める防火設備などを、通常の火災時における火熱が当該建築物の周囲に防火上有害な影響を及ぼすことを防止するために必要とされる性能を有するもので、国土交通大臣が定める構造方法とするか、国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならないこととされました。法第21条第2項に定める基準に適合する建築物全体の大臣認定を取得することも可能となっています。

また、技術的基準である令第109条の7の改正により、大規模木造建築物が満たすべき性能は次のいずれかに適合するものとされています。

大規模木造建築物の主要構造部規制の合理化に係る告示は、次のとおりです。

  • 建築基準法第二十一条第二項に規定する建築物の部分または防火設備の構造方法を定める件(令和6年国土交通省告示第284号)
  • 火災による熱量の算出方法等を定める件(令和6年国土交通省告示第285号)
  • 避難上および消火上必要な機能の確保に支障を及ぼさない周辺高火熱面積の規模を定める件(令和6年国土交通省告示第286号)

旧令第109条の7と「壁等の加熱面以外の面で防火上支障がないものを定める件」(平成27年国土交通省告示第249号)、「壁等の構造方法を定める件」(平成27年国土交通省告示第250号)は、廃止となっています。改正前の壁等による区画は、法第21条第3項の別の建築物とみなす規定として合理化されています。