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脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律等の施行について③

2024/6/19up

「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(改正法)」の一部が、令和6年4月1日に施行されました。今回施行された改正法等による改正後の建築基準法、施行令、施行規則および関連告示等について、その概要を次の5回に分けて紹介します。

「耐火建築物に係る主要構造部規制の合理化(法第2条第9号の2イ関係)」および「確認申請書の改正」(規則第1条の3等、別記2号様式等関係)

② 大規模木造建築物の主要構造部規制の合理化(法第21条第2項関係)

「防火規制に係る別棟みなし規定の創設(法第21条第3項、第27条第4項、第61条第2項等関係)」および「防火壁の設置範囲の合理化(法第26条関係)」

④ 防火避難規定に係る既存不適格建築物の増築等に係る規制の合理化(法第86条の7関係)

「排煙設備の設置を要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件(平成12年建設省告示第1436号)」および「壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにすることを要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件(令和2年3月6日国土交通省告示第251号)」の一部改正

今回は、③「防火規制に係る別棟みなし規定の創設(法第21条第3項、第27条第4項、第61条第2項等関係)」および「防火壁の設置範囲の合理化(法第26条関係)」について紹介します。

防火規制に係る別棟みなし規定の創設(法第21条第3項、第27条第4項、第61条第2項等関係)

建築物に対する防火規制の法第21条(大規模の建築物の主要構造部等)、第27条(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)、第61条(防火地域および準防火地域内の建築物)等の適用について、建築物が火熱遮断壁等で区画されている場合には、区画された2以上の部分を別の建築物として取扱うことで、例えば、低層棟など一部の部分については、これらの防火規制の適用を除外することを可能とする改正がなされました。

※ 火熱遮断壁等:壁、柱、床その他の建築物の部分または令第109条に規定する防火設備のうち、令第109条の8に定める基準に適合するもの

法第27条の説明画像

出典:国土交通省 住宅局「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」

■改正前の法第21条第2項第2号に規定する壁等の取扱いについて

火熱遮断壁等の基準および構造は、改正前の法第21条第2項第2号に規定する壁等を基本とされています。改正前の規定による壁等で区画した建築物は、改正後の法第21条第3項の規定により、区画された単位ごとの別棟として取り扱うことが基本となります。これに伴い、平27国告第249号と平27国告第250号は、廃止となっています。

■火熱遮断壁等で分離された部分に対する各規定の適用について

法第2条第6号に規定する延焼のおそれのある部分は、火熱遮断壁等で区画された2以上の建築物の部分相互に対しては生じないこととして取扱われます。また、令第109条の2の2第2項並びに令第112条第4項、5項、22項により、令第109条の2の2(主要構造部を準耐火構造とした建築物等の層間変形角)や令第112条(防火区画)の適用は、火熱遮断壁等で分離された部分を一の建築物とみなして適用されます。火熱遮断壁等で分離された部分の主要構造部の構造等に応じて、これらの規定を満たすことが必要となります。

例:竪穴区画に関する規定(令第112条第11項関係)の説明画像

出典:国土交通省 住宅局「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」

■大臣認定制度の運用について

  • 令第109 条の8に定める基準に適合する防火設備
    遮熱性または令第109条の8第2号ロに規定する可燃物燃焼温度を超える温度であって延焼を防止することができる温度以上に上昇しない性能(準遮熱性)を有する防火設備の大臣認定を取得することが可能となりました。
  • 壁等全体の大臣認定
    壁等全体に関する大臣認定を取得することが可能となりました。
  • 火熱遮断壁等で分離された部分に係る法第21条等の認定
    火熱遮断壁等で分離された部分にのみ法第21条第1項等の規定を適用することが可能となることに伴い、当該部分のみ法第21条第1項等に基づく大臣認定を取得することが可能となりました。

■「部分により構造を異にする建築物の棟の解釈について(昭和26年住防発第14号)」の運用について

技術的検討の結果として、建築物の部分相互の延焼を生じさせない性能が確立され、当該性能を有する火熱遮断壁等で区画する場合には防火規制上の別棟と扱うことを今般措置されました。今後、建築物を新築または増築する場合で1の建築物の2以上の部分を防火規制上の別棟と扱う場合には、火熱遮断壁等で区画することが原則となります。

■壁等の構造方法等について

  • 壁等の構造方法を定める件(令和6年国土交通省告示第227号)
  • 壁等の加熱面以外の面で防火上支障がないものを定める件(令和6年国土交通省告示第228号)
  • 壁等が防火設備である場合の内装の仕上げを不燃材料ですることその他これに準ずる措置の基準等を定める件(令和6年国土交通省告示第229号)
  • 建築物の他の部分に防火上有害な変形、亀裂その他の損傷を生じさせないために壁等に必要とされる機能を定める件(令和6年国土交通省告示第230号)

防火壁の設置範囲の合理化(法第26条関係)

延べ面積1,000u超の建築物(耐火建築物等を除く)について、1,000 u以内毎に防火壁等で有効に区画された部分(特定部分)のうち、耐火建築物や準耐火建築物相当の部分には、防火壁等の設置が不要となりました。この防火壁等の設置が不要となる特定部分は、層間変形角や面積区画、竪穴区画等の規定の適用では、その部分の主要構造部に応じてこれらの規定が適用されます。

法第26条の説明画像

出典:国土交通省 住宅局「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」